top of page

家と庭と街の新しい繋がり方。暮らしと街を彩る「入れ籠の家」。

  • 執筆者の写真: イノス山形支部
    イノス山形支部
  • 3月19日
  • 読了時間: 2分

2023年度イノスデザイン賞『優秀デザイン賞』と2024年度グッドデザイン賞を受賞した家がこの「入れ籠(いれこ)の家」です。

この家が建つ場所は、中心街の角地。道路に面しているため、敷地に塀やフェンスがないと家の中が丸見えです。しかし、お客さまは「周囲に気兼ねなく窓を開け、庭から光や風を取り入れ、のびのびと生活したい」というご希望がありました。道路に面して足元から塀を立ち上げてプライベートな庭を確保する計画がセオリーとなりますが、街との接点が失われることがあります。外構と建物の見え方や視線の遮り方を突き詰めた結果、塀を建てるのではなく、住宅に目隠しとなる大きな箱で住宅を覆うという新しいカタチの住宅が生まれたのです。

家づくりでは生活をするリビングや寝室、間取りなど室内のプランに多くのご希望をいただきます。外構は設計の最後や住んでからご要望に気づかれることもあります。入れ籠の家は、お客さまが最初から、外構について意識があったので、それを踏まえた設計ができないかと考えていました。


大きな箱は足下の高さを場所によって変えるように工夫しました。

寝室やお風呂など、とくにプライバシーを確保したい場所は、箱の高さをを下げることで目隠ししています。また、玄関やリビングは箱の高さ上げることで庭や空を見渡し、光や風を取り込める仕組みに。これによってお客さまからあった「外が眺められる家」を実現しています。住宅が建つ場所は、小学生の通学路にもなっていますが、大きな箱の足元が開かれたことで安全に見通すことができるのもポイントです。


もうひとつ工夫したことは、入れ籠状になった矩形の住宅とそれを覆う大きな箱は向きをずらすことで、不整形な空間をつくり、プライベートな庭や屋根付きの駐車場としたこと。2台分のカーポートが欲しいというリクエストでしたが、大きな箱に入れ込むことで雨の日も濡れずに玄関に入ることができるようになっています。



お客さまは、お庭をどう整備していくのかを考えている最中だそう。屋根の下が潤うと住まいとしても気持ちいいですし、塀がないので通行される方はお庭が街の一部のようにも感じられます。住宅が街を彩ることができるのも、この家の魅力です。


デザインが優先して見られがちの家ではあるのですが、実は一般的な家を建てるときとアプローチは同じなんです。施工主様に“譲れないもの”があったほうが、我々もその方だけのご提案ができます。遠慮なさらずに「こういう家にしたい!」と言っていただきたいですね。




Comentarios


bottom of page